[相談]

 我が国開催のオリンピック・パラリンピックのメダリストに与えられる報奨金について、公益財団法人日本オリンピック委員会(以下、JOC)、公益財団法人日本障がい者スポーツ協会(以下、JPSA)から交付される金品(報奨金)については、所得税が非課税となる他、JOCやJPSAに加盟する各競技団体からメダリストに支給される報奨金についても、“一定額までは所得税が非課税となる”ことを知りました。
 この“一定額までは所得税が非課税となる”ことについて、その一定額を超える部分の課税は具体的にどうなるのでしょうか。

 

[回答]

 JOC・JPSAに加盟する各競技団体からメダリストに支給される報奨金のうち、一定額を超える部分の金額については、一時所得として所得税が課税されるものと考えられます。

 

[解説]

1.メダリストに支給される報奨金に対する所得税の課税関係の概要

 所得税法では、JOCやJPSAからメダリストに支給される報酬金については、非課税とすることが定められています。上限はありません。

 一方で、JOCやJPSAに加盟する各競技団体からメダリストに報償金が支給される場合もありますが、こちらについても一定額までは所得税が非課税となることが定められています。

 具体的な非課税となる金額等は、スポーツ庁サイトの「メダリストに対する報奨金の非課税措置について」でご確認いただくとよいでしょう。

2.各競技団体から上限額を超える報奨金が支給された場合の課税関係

 国税庁がマラソン大会の賞金・報奨金について公表している質疑応答事例によれば

  • ①マラソン大会の主催団体から支払われるもの
    …雑所得に該当

    (理由)
    主催団体に対する役務の対価等と認められるため

  • ②主催団体以外の団体(質疑応答事例では、一般社団法人)から支払われるもの
    …一時所得に該当

    (理由)
    主催団体以外の団体に対する役務の対価として支払われたものとは言えず、また、継続して支給されるものでもないため

とされています。

 このことから考えると、今回のご相談のJOC・JPSAに加盟する各競技団体(オリンピック・パラリンピックの主催団体以外の競技団体)からメダリストに支給される報奨金のうち、一定額を超える部分の金額については、一時所得として所得税が課税されるものと考えられます。

 なお、一時所得は、下記のように計算します。

(計算式)
総収入金額-収入を得るために支出した金額-特別控除額(最高50万円)=一時所得

[参考]
所法9、34、35、所令28、国税庁所得税質疑応答事例「マラソン大会の賞金・褒賞金の課税関係」、スポーツ庁ホームページなど

 

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税理士法人大久保会計